「イザークあれ欲しい。」
フレイが指差した物は、パンジーの花をあしらった小さな指輪だった。
「あんな安っぽい物買ってどうする?
他にももっといい物があるだろ?」
イザークはちらりと見るなりそう言った。
「いやなの、あれがいいの!!」
フレイは頑なにそう言い張った。
「大体お前別にパンジー好きな訳じゃないだろ?
今日に限ってなんであの花がいいんだよ?」
イザークはせっかく今日は喧嘩せずにここまでこれたのにと
その指輪を恨めしく見た。
「イザーク、今日何の日か知ってる?」
「ああ、俺達が出会ってから一年経ったんだろ?」
お前その事今日までに何回口にした?と内心思いながら
イザークは答えた。
「だからよ、だからあれが絶対に欲しいの。」
フレイはきっぱり言い放った。
こうなったフレイには手がつけられない。
イザークは渋々その指輪を包むように定員に言った。
定員とやり取りしているイザークの背中を見ながら、
その時フレイはこんな事を思っていた。
「知ってる、イザーク?
パンジーの花言葉はねぇ、
《思い出》
なんだよ。だから私、今この指輪が欲しいの。」
フレイはイザークの背中を優しく見つめた。
以上我が侭フレイちゃんでしたっ!!(脱走)