シンはいつも書いている(といっても気が向いたときにのみだが)、日記を開いた。
今日は色々なことがあった。
海で色んなこと考えてて頭がぐるぐるしてたら、いきなり崖から女の子が落ちるのを見て、
助けたりとか。
だから、シンはほぼ三日坊主になっているような日記帳を引っ張り出してきた。
普段は別段取り立てて書くほどのことはないが、今日は違う。
また、機会があったら絶対に逢いたいと思う人ができたから。
『今日、海で女の子に逢った。
すっごく可愛いくてスタイルの良い子だった。
デュランダル議長の言葉とか思い出してたら、その子がいきなり海に落ちてびっくりした。
慌てて助けたけど、なんだかひどく怖がっていて、
でも、俺が抱きしめて守るって言ったら安心してくれたみたいだ。
なんだか、マユに感じていたのとはちょっと違うけど、俺が守らなきゃって思った。
この腕の中の少女を守ってあげなくちゃって強く感じた。
そのあとアスランが来るまで二人で喋ったけど、ディオキアの子みたいだから、
また逢えたらいいな。
いや、いつか絶対に逢いに行こう。』
そこまで書いて、シンは日記帳を閉じた。
目を瞑ればまだ思い出せる、あの女の子の笑顔を。
そして、去り際に見た少し心細そうで淋しそうな顔を。
ステラって言ってたっけ?
ステラに貰った貝殻の欠片を大事にビンにしまって、シンはそれを眺めた。
本当に、また逢えたらいいな。
できれば戦争の無い平和な世界で。
今日は久しぶりに良い夢が見られそうだ。
家族を亡くしてから酷いときには毎晩見ていた悪夢を見なくて済みそうだ。
シンはベッドの中でまどろみながらそんなことを考えた。