「ふーやっと着いたわね〜」
「いつもに増して人が多いわね〜」
「じゃあ、最初は何処にいこうか?」
「うーんやっぱりここは外せないわよね。」
「じゃあ、近い所から順々に行きますか!」
「OK〜!」
フレイ達一行は歩き出した。
街は込んでいて油断すると逸れてしまいそうだった。
「ほんっと、込んでるわね…」
皆げっそりしながら人の流れに乗ってのろのろと歩き出す。
「んじゃ、ここから入ろっか!」
駅から近い所にある一際大きい店の前でフレイ達は止まった。
皆目を輝かせながらビルを見上げる。
「まずやっぱりこの夏に必要な水着を見ましょうか。」
店に入ると同世代の少女たちが既に沢山群がっていた。
「うわー中も込んでるわ〜!」
「んじゃ、それぞれ買いますか!!」
少女たちは思い思いの水着を買いに散らばった。
そんな中フレイは迷っていた。
「どしたの?フレイ??」
「えっ?あ…」
「水着買わないの?」
「うん…」
「そっか…」
彼女はそれ以上は何も聞かなかった。
「じゃあ、私はちょっと見てくるね。」
「うん。」
フレイはぶらぶらと店内を見てまわった。
私が水着を着れるわけないじゃない。
私には、私の体中には沢山の傷が有るんだから……。
シャトルの爆発に巻き込まれたフレイは勿論無事では済まなかった。
むしろ五体満足だったのが奇跡に近いことだった。
彼女の体には爆発のための火傷や傷が無数にできた。
今ではほぼ完治したが、まだ傷跡は残ったままなのだ。
ナチュラルの技術では傷を完全に消すことはできなかった。
ハミルトン夫妻はコーディネイターの医者に診てもらったらどうかと勧めたが、フレイは決心つきかねている。
「ふー。やっぱ診てもらおうかなぁ…」
今日一番のため息が出る。
「やっぱ来なかった方が良かったかなぁ………」
そして、フレイを待たすこと数十分、ようやく買い物は終わった。
「荷物は全部郵送してもらうことにしたからまだまだガンガン買うわよ〜!!」
「じゃあ、今度はどこ行こうか?」
「あのお店!!」
……そして数時間後、ようやく買い物を終えた少女たちはカフェで休憩していた。
「今日は沢山買ったね〜」
「うん!なかなかいい物買ったよね!!」
「どうする?もう帰る??」
「う〜ん…雨降りそうだしそろそろ帰ろっか?」
「そうだね、じゃあ、このケーキ食べ終わったら帰ろう!」
カフェから出た少女達は駅に向かって歩き始めた。
フレイはなんとなく後方を歩いてぼーっとショーウィンドウを眺めていた。
その時何か頭の中で光るものを感じてフレイは立ち止まった。
何だろ?―
自分が今見ていたショーウィンドウを凝視する。
そのショーウィンドウには綺麗なサファイアの首飾りが掛かっていた。
綺麗…―
見る者を圧倒する豪華な飾りにフレイは見惚れた。
でも、この色何処かで…―
フレイはそのサファイアの色に何か引っかかるものを感じた。
あれ?何だろ?一体何処で…?―
思い出せない、でも何故か懐かしくて安心できる色…
フレイは何か思い出そうとそのサファイアを見つめた。
そして、その間に友人たちが角を曲がるのに気づかなかった。
「うーん…何だったかなぁ…ん?あれ??皆は???」
気づいた時には友人たちの姿は完全に見えなくなってしまった。
「ええっ?何処行ったのよ〜」
慌てて走り出す。
しかしフレイは友人が曲がったのに気がつかず、角を曲がらずにそのまま通り過ぎてしまった。
走っても走っても友人の姿が見えない。
おかしいと思い始めた時にはフレイは完全に迷ってしまっていた。
「ど、どうしよう…」
フレイは今にも雨が降りそうになっている空を仰ぎ見た。