1    全ての真の生とは出会いである。



オーブのとある町で開かれたパーティー。イザークは飛び切り不機嫌だった。
というのは、彼の友人であるディアッカが彼女とのデートのために来なかったからだ。

そのパーティーはコーディネイターとナチュラルの友好を深めるだのなんだのという目的のために
両者が同じホール内で楽しんでいた。
「くそっ、何でこんな日に限ってディアッカの奴デート等と現を抜かしてるんだ!!
大体このパーティーは何だ!!何が友好関係だ!!奴らが我々に何をしたか忘れたのか!!
母上も母上だ!!いくら知り合いに招かれたからってこのようなパーティーにのこのこと出かけるとは。」
イザークは物凄い形相で荒々しく歩いていた。

その時何か小柄なものがいきなりテーブルの間から飛び出してきた。
「やーよ、教えないって言ってるでしょ。」

ドスン。
イザークは突然飛び出してきたそれを避ける事ができずにぶつかってしまった。
バシャッ。

何か液体のような物が服にかかった。
イザークに勢い良くぶつかってきたものはよろけて倒れ床に強かに腰をぶつけてしまったようだ。

「す、すまない。」

自分には非がなかったかもしれないが一応謝り、倒れているその少女を助け起こそうと手を差し出した。

しかし、その少女は手を握ろうとせず、イザークの事をキッと睨むとすっと立ち上がり、
「ちょっとあんた気をつけなさいよね!!」
と凄い剣幕でまくし立てた。
「なっ、お前がいきなり飛び出してきたからいけないんだろっ!!」
イザークもカッとなりその少女を睨みつけ、言い返した

普通ならイザークが一睨みするだけで大抵の者は怖気図いてしまう。
この時も彼女の後ろにいた友人らしき少女はさっと顔を青ざめ二三歩後退し回れ右をして走り去っていってしまった。
しかしこの少女は怯みもせず、言い返してきた。
「あんたがちゃんと前見て歩いてないからいけないんでしょっ!!」

そこまで言ったところでその少女はその少年の服に持っていたジュースをかけてしまったことに気がついた。
「あっ、服にジュースかけちゃったみたいね…ごめんなさい・・・・」

 しかし、その少年は怒った顔をして立ち去ろうとした。
その少女は追いすがり、「謝ってるでしょ!!」と頬を紅潮させた。
そして、「ちょっと来なさいよ!!」と言って、イザークの腕を引っ張っていく。

イザークは「お、おい。」と少し慌てて話しかけるが、その少女は無視してぐいぐい引っ張っていった。
そして、トイレの前に着くと、
「ちょっと待ってなさいよね。」
と言い、一人で女子トイレの中にツカツカと入っていってしまった。
イザークがどうしようか悩んでいると、中から駆け出してきた。手には真っ白いハンカチを握っている。
「おい、そんなことは頼んでないぞ。」
イザークが言うと、少女は、
「なによっ、拭いてあげるんだから感謝しなさいよね。」
と少し怒ったような口調で言った。
「たいしたことないからいい!!」
とイザークがきっぱり断ると、
「なによ、せっかく人が拭いてあげようとしてるのにっ!!じゃあ、あんた自分で拭きなさいよっ!!」
と言いそのハンカチをイザークに投げつけて走り去ってしまった。

 イザークは突然の反応に驚き、
「何だよ、あいつ・・・」
と言いながら、受け止めたハンカチを見た。そこには”Fllay.A”という風に縫い取り刺繍されていた。

 聞いたことない名前だな…とそれを見ていたが、返さなくてはならないと思いホールに戻った。
が、どこを探してもいない。
焦ったイザークは、さっき少女の後ろにいた彼女の友達らしき少女に話しかけた。
「おいっ、さっきの女は何処行った?」
彼女は一瞬逃げ出そうとしたが、
「か、彼女なら、か、帰ったと思うわ。」
と言った。イザークが少しがっかりした顔をすると慌てて付け加えた。
「あ、でも帰ってくるかもしれないわ。」
よくよく話を聞いてみると、彼女はいなくなったと思ったら、顔を紅潮させて帰ってきて、
自分のバッグを引っつかんでどこかに立ち去ったらしい。
友達が何処行くのか聞くと、帰ると短く言い捨てて帰ってしまったようだ。

その友達はしゃべり始めると止まらないらしくイザークを怖がっていた事も忘れてしまったようだ。
「でも、今日のパーティーは長いから、機嫌が直ったら帰ってくるかもしれないわ。」
と彼女は言った。
「悪いが滞在先か何かを教えてくれないか?」
と聞くと、少し迷ってから彼女が滞在しているホテルの名を教えてくれた。
そのホテルはパーティー会場の目と鼻の先にある有名な高級ホテルだった。

 イザークはその友達に礼を言いホールから出て、携帯電話でホテルのフロントに電話をかけた。
少女の所在を確かめるとまだお部屋には帰ってきていないようですという答えが返ってきた。
礼を言ってイザークは電話を切った。

 イザークはあのまままっすぐ帰ったらもう着いていてもおかしくないのにと一瞬不審に思った。
そして、そろそろ本格的にパーティーに飽きてきたので散歩して時間をつぶし、
それからホテルに行こうと、そっと玄関から外にでた。








〈あとがき〉
イザークとフレイの出会い編!!
最初っから合わない二人です…。
文章書くの難しいなと第一話で早くも実感中…




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