入学式終了後生徒会室にアスランが戻ると中から何やら騒がしい声が聞こえてきた。
「何考えてるのよ!あんたっ!!」
「別に何も考えとらん。」
「それがいけないのよ!このアホ河童!!」
「なんだとぉぉぉ!!」
「ホント馬鹿じゃないの、あんた!新入生の前でなんてこと言うのよ!」
「ふん、あれしきのことでがたがた言うな!」
「あれしきですって!!ホントあんたの頭の中には何が入ってるのよ!!もう、知らないっ!!」
「おい、ちょっと待てっ!」
バン!
いきなりドアが開いて外で聞き耳を立ててたアスランは驚いて飛び上がった。
「うわっ!」
「ん?アスラン??」
「いきなりどうしたんだ?」
襟を正しながらアスランは白々しく聞いた。
「あいつが入学式の時に言ったこと覚えてる?」
「ああ。」
「あんなこと入学式で言うなんて頭どうかしてるわよねホント!!」
フレイは中にいるイザークに聞こえるようにわざと大きな声で言う。
「ま、まあな・・・」
アスランは困った顔でフレイを見た。
「こんなことになったのは全部アスランがちゃんとしてなかったからだからね!」
「えっ?俺のせい??」
「当たり前じゃない!あんたの監督不届きよ!!」
「でもそれは…」
「ごちゃごちゃうるさい!!今後こういうことがないようにしてよね!!」
「だから、それは…」
「それから人の話を盗み聞きするのもやめてよね。んじゃ。」
言いたいことだけ言ってフレイはすたすたと歩き出す。
「え、ちょっと待っ…」
その時後ろから不穏な空気を感じてアスランはおそるおそる振り返った。
「ア〜ス〜ラ〜ン」
「ははは…どうしたのイザーク…」
アスランはひくひくと顔を引きつらせて何とか笑顔を作ろうと努力する。
「貴様、今日の入学式はなんだ!」
「え?別に普通…」
「あんな態度じゃ生徒会長としての尊敬を集められんぞ!!」
「別に尊敬だなんて…」
「甘ーい!そんなことじゃ生徒を統括できるわけがないじゃないか!!」
「ん〜、まあいいんじゃない…?」
「良くない!!貴様生徒会長を甘く見ているな!!!」
「甘くってそんな…」
「貴様のその浮ついた根性、俺が叩きなおしてくれるわぁ!!」
「え、ちょっと待っ…」
竹刀を持ち出してきたイザークを見てアスランは青ざめた。
「まずは声の出し方からぁ!!」
「なんでこうなんのぉぉぉぉぉ…」
誰も居ない廊下にアスランの叫び声は虚しく響いた。